プロジェクト名:農村の民泊プロジェクト「農村エリアの民家を活用して宿泊滞在施設をオープンするための実践勉強会」
今回のテーマ:第2回業態の異なる宿泊施設見学・視察見学会①
日時:2017年11月5日(日)13:00~16:30(開場13:00~)
集合場所:さんば家ひぐち(兵庫県篠山市福住370)
参加費:1,000円
参加者:8名
(1)ガイダンス「業態の異なる宿泊施設を知る」
(2)簡易宿所「古民家ゲストハウスやなぎ」の見学(オーナー藤井宏子さん)
(3)農家民宿「森の風土」の見学(オーナー森田忠さん)
(4)振返り
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今回は実際に開業している宿泊施設オーナーにお話を聞きながら、建物見学をしました。
ガイダンスでは「業態の異なる宿泊施設を知る」ということで、現在の旅館業法で区分されているホテル・旅館・簡易宿所・農家民宿・下宿の違いについて概要を学びました。その区分の中でも、今回見学する施設は①簡易宿所と、⓶農家民宿です。
簡易宿所「古民家ゲストハウスやなぎ」の見学では、各客室を拝見しながら、開業の際に改修したところ、新たに設けた設備などを1つ1つ説明いただきました。面積による定員数の設定や、彩光の調整、お風呂の改修などです。オーナーの藤井宏子さんは、この宿泊施設を基本的に週末のみ運営していらっしゃいます。その他の平日は別のお仕事を本業でされており、管理人スタッフやアルバイトスタッフと協力しながら、週末運営をずっと継続して来ました。お客様がチェックアウトした後のお掃除は布団を上げ下げしたり、シーツを洗濯したり、清掃したり・・・施設の管理業務だけでも重労働です。
今後の課題は、少子高齢化による人材不足だと仰いました。都市部では、申込受付・チェックイン対応・掃除など運営管理に関する業務のプラットフォーム化が進んでいるそうです。農村エリアではオーナーの高齢化によって、手間ひまかかる宿泊施設の業務を限られた人数でこなしていくことが大変になってきていることが話題になりました。資金面・マンパワー・宿の運営等の課題を解決するために、農村ならではの、地域みんなで助け合うことのできる中規模ネットワークを形成することが末永く続けられるポイントになるのではないか。そのような形態を模索していきたいとのことでした。
農家民宿「森の風土」の見学では、オーナーの森田忠さん・ゆきこさんご夫婦が迎えてくださいました。忠さんは施設を開業にあたり、地域の仲間や大学生と一緒に「福住スタイル研究会」を立ち上げ、宿のコンセプトや利用案内づくり、体験プログラム企画等を協力者と共に検討してきました。また家族の協力を得て、広報チラシやホームページを作成したり、運営について役割分担するなど、様々な立場の方と協働するスタイルで運営しておられます。妻のゆきこさんは、お客様の問合せ・申込からチェックイン・アウトまで一通りを担っています。当日を迎えるまでにお客様の滞在目的を尋ね、意向に沿った滞在プランを提案しています。お客様によっては、あまり受入れ側が構わず静かに過ごすことを希望される方もいれば、農業・収穫体験等を通じ地元との交流を目的に来訪する人、移住検討中の方でお試し滞在をする方など多様な過ごし方があるそうです。森田さんから「宿泊施設を開業するとき、①なんのために事業をするか(改修目的につなげる)、⓶だれのために事業をするか、③その人にこの宿をどう思ってほしいか(資金計画・プランづくりにつなげる)、④利用者とどのようなつながりを持つか(1度きり?末永いお付き合いをするか?)・・・・の4点について、検討することを心掛けた。宿泊施設の開業を検討するみなさんにもこの問いを通じて、自分の夢を叶えてもらえれば。」という言葉が印象に残りました。森田さんはこの宿を通じて、定住促進事業を展開したいそうです。
次回以降の勉強会について、参加者メンバーからは「食事を提供している宿泊施設を視察してみたい」「次は宿泊体験付きの見学会を希望!」等のご提案もいただきました。せっかくですので、1月以降で企画してみます!
*** 各施設のオーナーへ質問したこと ***
①設立時~準備~開業までについて
・住居として住んでいる家で宿泊者を受け入れるために
(共有スペースのあり方、風呂・台所、受入れ頻度等)
・開業にあたり、新たに設けた設備、改修箇所は?
・篠山らしさを出すには?(他地域との差別化について)
・集客方法は?(何を強みにしているか?)
・立上げ期のエピソード
(予算、借入れ・資金調達等、協働者との役割分担、開業までのスケジュール等)
②開業後のことについて
・料理の提供はどうしているか?
(飲食店との連携、ケータリング、サービスのバリエーションがあるか等)
③オープンしてからの課題は?
(運営方法、知名度が低い時期の広報等)
④地域に受入れられる宿泊施設とは?
(単なる場所貸しでない宿泊滞在施設を目指すには、連携者の有無等組織等)
【参考】
■集合場所「さんば家ひぐち」アクセス
http://sato-sasayama.jp/fukusumi/entry.php?TY=1&ID=821
■素泊まりの“はたご”「古民家ゲストハウスやなぎ」:http://www.gh-yanagi.com/
■農家民宿「森の風土」:https://www.instagram.com/morinofudo/
*** 今後のお知らせ ***
2017年12月の勉強会はお休みです。次回は新年を迎えた1月以降で宿泊体験付きの視察・見学会を企画中です!
勉強会で滞在してみたい宿泊施設がありましたら、お知らせください!!
本勉強会は、いつからでも参加できる実践勉強会です。
お気軽にお問合せ下さい。
■主催:神戸大学・篠山市農村イノベーションラボ
■参加申込・問合せ 079-506-6628/info@sasayamalab.jp
■民泊プロジェクトとは http://sasayamalab.jp/page.php?id=318
視察見学会の様子(兵庫県篠山市福住地区のゲストハウス「やなぎ」玄関&ロビー)
視察見学会の様子(兵庫県篠山市福住地区の農家民宿「森の風土」茅葺屋根の外観)
視察見学会の様子(宿泊施設オーナーから開業の経緯、広報手法、ターゲット設定など取組紹介の後、質疑応答)