【2012実践農学入門】実践農学入門第9回を実施しました。

2012年1月21日(土)くもり。
篠山市畑地区でおこなっている神戸大学農学部の現地実習の最終回です。今回は、学生37名の参加でした。

畑地区・みたけ会館へ着くと、すでにもちが蒸され、シシ汁の準備も万端でした。
みたけ会館の中では、炊き上がった黒豆ご飯やおからなど、おいしそうな料理がずらっと並んでいます。
100名ほどの料理づくり、畑地区のみなさんは度々他市との交流会を実施されているので、手慣れたようでした。
とはいえ、昨日または早朝から仕込みや準備をしてくださっていたようです。ここに、改めてお礼申し上げます。

実は、地元の方と一緒に郷土料理づくり、というプログラムだったのですが、すでにほとんど作業が終わっています!学生たちは、もちつきや配膳準備が主な仕事でした。

杵と臼を使ったもちつきを経験したことのない学生も多く、リズムの悪いもちつきでしたが、地元の方のご指導を受けながら、少しづつ上手になっていきました。
最近は、もちつきも機械でやってしまう、という農家さんも多く、「どなたか見本を見せてください!」と言っても「最近やってないからなぁ」と、なかなか前に出てきてくださりませんでした。

昨年度福住で実習をしたときも、稲刈り後の稲架かけ作業で稲木を組み立てる作業を知らない農家さんもおり、「こういうの、今しないからね~」と言われた記憶があります。

この授業は地元の方にとって「昔ながらの農作業を見直す」契機にもなっているのかもしれません。

さて、今日のメニューは「黒豆ごはん・黒豆コロッケ・黒豆煮・黒豆入りおから・白黒なます」。黒豆づくしです!!
1年間お世話になった農家さんと学生とで、食事をしながら1年をふりかえりました。

各班の代表と受け入れ農家さんから一言ずつ、学んだこと・感想を話してもらいました。

そのなかでも一番印象に残った言葉が
学生の、「農業を知っているつもりだったのに、何も知らないということに気づいた」という一言と、
地元の代表の「腫れ物に触るように過ごした1年」という一言でした。

学生は「腫れ物」。とても絶妙な表現だと思いました。
農家さんがご自身の子供さんらに農業を手伝ってもらうときも、「彼らが農業を嫌いにならないようにだいぶ気を遣う」とおっしゃっていました。

一方の丁重に扱われた学生たちは、確かに「自分は何の役にもたっていない」と認識しているようでしたが、彼らの書いたレポートから、農家さんのさりげない一言から農業農村の現実を学びとっていた様子がわかりました。大事に扱われるからこそ、たまに出てくる現実味を帯びた一言が、学生の心を刺激したのではないかと思います。

現在農業を担っている篠山の農家さんには、「腫れ物」が「共に作業する仲間」となるように、教え、育てていく役割があります。その相手が親戚である場合もあるでしょうが、農業を心ざすよそ者である場合も今後増えていくでしょう。

このような、農家が「日常を教える」という経験と、学生が「現場を知る」という経験が、今後のそれぞれの生き方にどのように影響していくのか、これからが楽しみだな、と思います。

本当に1年間お世話になりました。

布施未恵子


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